日税FPメルマガ通信 第407号

外貨建て債券のデメリットとは?
メリットだけじゃないリスクも分かりやすく解説

2024年4月22日発行

 

債券といえば、元本割れのリスクが低く、比較的安心感のある金融商品というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、外貨建て債券に関しては、日本の債券とは違ったデメリットやリスクがあるため、注意が必要です。

今回は、外貨建て債券のメリット・デメリットについて解説します。

1.外貨建て債券とは?

外貨建て債券とは、元金となる購入代金の払い込み、利息の受け取り、償還金の受け取りなどが、すべて日本円以外の通貨で行われる債券のことです。
主に、米ドル、豪ドル、ユーロ、ニュージーランドドルなどの通貨があります。

外貨建て債券の種類
外貨建て債券の種類としては、「利付債」「ディスカウント債」「ストリップス債」などが挙げられます。

それぞれの特徴は、以下の通りです。


2.外貨建て債券のメリット3つ

外貨建て債券には、日本の債券にはない特徴があります。
ここでは、外貨建て債券の主なメリットを3つ紹介します。

高利回り商品が多い
外貨建て債券は日本の債券に比べて利回りの高い商品が多いです。

外貨建て債券の利回りが高い理由としては、各国の政策金利水準の違いが挙げられます。
2024年2月現在、日本の政策金利はマイナスですが、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ユーロなど、諸外国の政策金利は4~5%の水準です。

政策金利とは、各国の中央銀行が、景気や物価の安定などを目的として定める金利のことです。
一般的に、債券の金利は政策金利に連動するとされているため、日本の債券よりも外貨建て債券のほうが、利回りが高い傾向にあります。

為替差益が期待できる
外貨建て債券の場合、円安になるほど為替差益が期待できます。

例えば、1ドル120円で外貨建て債券を10,000ドル分購入する場合、払い込みの金額は1,200,000円です。
満期まで債券を保有し続けた場合、償還日には10,000ドルを受け取ることになります。

しかし、その10,000ドルを円に戻すときの為替レートが1ドル150円であれば、150円-120円で1ドルあたり30円分の為替差益がでることになります。
つまり、1ドル150円で10,000ドルすべてを円に換えた場合、通常の利息以外に300,000円の為替差益を受け取れる点は外貨建て債券のメリットです。

分散投資ができる
外貨建て債券をポートフォリオに組み込むことで、リスク分散が可能です。

値動きが異なる複数の資産を組み合わせて保有することで、ひとつの資産が値下がりしても、ほかの資産が値上がりすることで、全体的な値動きを安定させることができます。

外貨建て債券は、日本の株式や投資信託とは値動きが異なるケースが多く、分散投資効果という観点でもメリットが高いです。

3.外貨建て債券のデメリット5つ

外貨建て債券には、メリットだけではなく、デメリットもあります。
外貨建て債券に限らず、投資を始めるときはリスクをしっかりと把握したうえで、安全な運用を目指しましょう。

為替リスク
外貨建て債券特有のリスクとしては、為替変動による影響が挙げられます。

先ほど説明した通り、円安になれば為替差益が期待できる一方で、円高になれば為替差損が発生するリスクもあります。

信用リスク
信用リスクとは、債券を発行した国や企業の財務状況が悪化し、債券不履行(デフォルト)に陥るリスクを指します。

債券不履行に陥ってしまうと、利息や償還金の一部またはすべてが支払われない可能性があります。

カントリーリスク
カントリーリスクとは、国の政治経済の情勢変化による影響を指します。

取引規制により途中売却ができなくなったり、財政破綻等により利息や償還金の支払いがされないなどのリスクがあります。

価格変動リスク
外貨建て債券を途中解約する場合は、価格変動リスクも考慮しなければいけません。

解約する時点の市場価格が購入価格を下回る可能性もあるため、損失を被ることになります。

流動性リスク
外貨建て債券に投資する際は、流動性リスクについても把握しておきましょう。

特に、新興国の外貨建て債券については、市場での取引ができず、売りたくても売れない状態に陥る可能性があります。
金利水準や信用力に変動があったときや、債券自体の魅力が低い場合などに起こり得るリスクです。

4.まとめ

外貨建て債券は、高利回り商品が多く、円安が続く2024年現在は為替差益が期待できるなど、メリットの多い金融商品です。
その一方で、信用リスクやカントリーリスク、流動性リスクなど、利息や償還金の受け取りができず、大きな損失を被るリスクもあります。

外貨建て債券に投資する際は、メリットだけではなくデメリットやリスクも把握したうえで、できるだけ安定的に運用することをおすすめします。


<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。


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参考

経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/

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